こちらの記事は、パートナーとのセックスレスに悩む女性に向けて書いています。
したいと誘っても拒絶され、勇気を出して話し合いをしてみた。その結果、お互いに歩み寄るのが難しいとわかった…。
そんなとき、これからどうしていったらいいのでしょうか。自分の気持ちも落ち着かない状況で、何から始めればいいのでしょうか。
もしもまだ、セックスレスについて、パートナーの前で自分の気持ちを口にしていない、相手のことも十分に聞けていないようでしたら、まずはこちらの①の話し合い記事をお読みいただければと思います。
自分のことを話し、相手のことを聞く。歩み寄る意思がお互いにあるかどうかを確認する。これだけで結構な労力と時間がかかります。
この記事は、その段階を経て、
「二人の間でのお互いの歩み寄りが難しそうだとわかった、その場合、拒否されて悩む側にはどういう選択肢があるのか?どうやって自分の気持ちを整理していったらいいのか?」
という疑問にお答えする記事です。
歩み寄りはもう可能性が低い、難しいという前提に基づいて書いていますので、ご了承ください。
セックスレスの話し合いをして、相手からの歩み寄りは難しいとわかった。まず自分に問いかけてほしいことは?
では、具体的なお話に入っていきましょう。
勇気を出して、①の話し合いをしてみた。相手の返事も時間をかけて待ったし、自分の気持ちが暴走しないように、話を聞こうともした。
普段から不機嫌にならないように気をつけた。相手の口から出てくるひどい言葉も受け止めてみた。自分の伝えたいことも頑張って伝えた。
その結果、どうやら「相手には歩み寄る意思がないと思われる」という結論が出てしまった…。
とても傷つきますし、落胆すると思います。
そんなとき、何からどうしたらいいのでしょうか。
まず、この質問を自分自身に投げかけてみてください。
「この先、相手がどうしても変わらなかったとしたら、『私は』どうしたい?」
あなたがどんなに正しい努力をしても、相手が今のままだとしたら。
あなたができる限りのことをしたとしても、相手が今のままだとしたら。
あなたはどうしたいですか?
あなたは、自分のために、どうしたいですか。
これを、時間をかけてゆっくり考えてみてほしいのです。
これはとても残酷な質問かもしれません。でも、とても大切な質問でもあるので、実際のご相談の中でもよく使います。
特にセックスレスのお悩みのような、「自分だけでは解決できない問題」では、どうしても「相手がこうしてくれたら」「相手さえちょっと譲歩してくれたら」という期待が大きくなります。
話し合いをして、歩み寄りが難しいと思い知らされた後でさえも、この期待はなかなか消えないでしょう。
相手からもう少し何かアクションがあれば、自分だって頑張れるのに、という気持ちも働きます。
こうなるのも無理はありません。それだけ、相手に自分の気持ちを預けているし、そうしてもいいほど大切な存在なのですよね。
この質問は、その「相手への期待」をある程度薄めて、意識を自分自身に戻すためのものとも言えるでしょう。
相手がこうしてくれたら…という仮定ではなく、自分はどうするのか。
意識の中の「相手」の割合を減らしてみるといったらいいでしょうか。
「この先、相手がどうしても変わらなかったとしたら、『私は』どうしたい?」
自分の中からどんな言葉が出てくるのか、ちょっと観察してみてほしいのです。
具体的に考えてみるといいのは、この3つ。
そんなこと言われても、いきなり答えなんか出ません…そう思われる方も多いと思います。先の質問と一緒に、自分自身に聞いてみるといい3つのことをお話していきますね。
「私はどうしたい?」というのは、具体的に言うと、次の3つについてどう思うかを考えることになります。
「今後の人生で、もうセックスをなしにしてもいいか?」
「セックスレスのままでいる相手と生活を継続するか?」
「セックスレスのままでいる相手への感情をどう着地させるか?」
順番にみていきましょう。
①今後の人生で、もうセックスをなしにしてもいいか?
「性的なことは自分の配偶者とだけ」となっている以上、そのパートナーとセックスレスの状態にあり、今後も歩み寄りが難しいとなると、このまま自分の人生においてセックスを含むスキンシップはなくなることになってしまいます。
それでいいと思えるか。それとも、それでは嫌だと思うか…という質問です。
これに答えたからといって、「じゃあこうするしかないですね」というふうに、すぐにもっていきたいわけではありません。
まずは自分の中にある感情・気持ちを把握する意味で、考えてみる…と思ってください。
簡単に答えが出なくてもいいのです。自分に問いかけたときの年齢や、家族の状況も影響しますし、今は、即座にそんなの嫌!と思ったとしても、半年後にはまた答えが変わっているかもしれません。
また、この質問へにどう答えるかと、実際にそれを行動に移すかどうかはまた別の問題です。自分の中にある気持ちを、まずは認めてみましょう。
②セックスレスのままでいる相手と、生活を継続するか?
「性的なこと以外は、本当にうまくいっているんです、育児も家事もしてくれるし…」
「周りからはとても仲のいい夫婦と思われていると思います」
ご相談でもこういうお声をよく聞きます。夫婦間のセックス(スキンシップを含む)という面ではうまくいかない、だけど他の面ではそんなことはない…という方もいれば、
「普段から会話もなくて、もう離婚でもいいかなと思っています」
というケースもあります。子どもがいるので離婚は考えたくないという場合も多いです。
この問いに対して、あなたの中にはどんな気持ちが出てくるでしょうか。
③セックスレスのままでいる相手への感情を、どう着地させるか?
この部分でおそらく一番迷ったり、気持ちが定まらない…ということが起こるのではないでしょうか。
セックスレスのお悩みでお互いの歩み寄りが難しいとなった場合、悲しいかな「基本的には、したくない側の願いが日々叶う形で日常が続いていく」ことになります。
自分の願いはもう叶わないのに、相手は叶ったまま…というのを感じさせられるたびに感情が乱れてしまうでしょう。
また、相手のために何かをしたいと思わなくなったり、別の形で何か復讐したいという気持ちと戦い続けることになるかもしれません。
この部分にどう自分の気持ちをの落としどころを見つけるか、どういうスタンスでいると決めておくのか…といったことがとても重要になってきます。
それは短期間に見つかるものでもなく、自分と相談しながら、葛藤しながら、諦めたくないともがきながら手に入れていくものかもしれません。
また、①と②についてどう考えているかも関係してきますね。
「自分で選ぶ」ということ。
「この先、相手がどうしても変わらなかったとしたら、『私は』どうしたい?」
この問いに答えるのが難しいのは、「自分で選ぶ」という要素が入ってくるからです。
相手のせいにせずに自分で選ぶ。自分で選んだことに覚悟を持つことが必要になります。
相手の言動により絶望を味わっているときに、なかなかそんな気持ちにはなれません。
でも、「まだなんとかできるんじゃないか」と話し合いを繰り返しても、同じ結果にしかならない、さらにどんどん夫婦仲が険悪になっていく…というところから、「自分の気持ちの落ち着きどころをそろそろ見つけたい」「どうしたら穏やかな気持ちで毎日を過ごせるんだろう」と考え始める方も少なくありません。
そうなったときに初めて、「自分で選ぶ」をしてみようかなと思えるのかもしれませんね。
そこにたどり着くまでには、時間もかなりかかると思います。
結婚して間もないAさん、産後レスの状態のBさんならどうする?
例えばこういう状況の方だったら…。具体的な3つの質問に対し、どんな答えを出すでしょうか。
30代前半のAさん。結婚して2年くらい。子どもがそろそろほしいと考えている。
40代前半Bさん。子どもが2人いて4人家族。産後にセックスレスになった。
AさんとBさんが、先に書いた3つの質問に答えたとしましょう。
<30代前半Aさん>
結婚して2年くらい。そろそろ子どもも考えている。
①今後の人生で、もうセックスをなしにしてもいいか?
→無しは嫌だ。でも相手は夫でないと嫌。
②セックスレスのままでいる相手と、生活を継続するか?
→そんなこと言ったって生活するしかない。離婚したら他に相手が見つかるかなんてわからない。あんなに婚活に苦労したのに…。
③セックスレスのままでいる相手への感情を、どう着地させるか?
→簡単に受け入れられないし、日々の家事もどうしてこの人のためにやっているんだろうと思ってしまう。
<40代前半Bさん>
子どもが2人いて4人家族。産後にセックスレスになった。
①今後の人生で、もうセックスをなしにしてもいいか?
→無しは嫌だ。
②セックスレスのままでいる相手と、生活を継続するか?
→いずれ離婚したい。子どもが大きくなったら。でもそれまで相手を憎みながら生活するのはキツそうだな…。
③セックスレスのままでいる相手への感情を、どう着地させるか?
→簡単に受け入れられない。相手にだって変わってほしいと思ってしまう。
さて、このAさんとBさんがここからどうしていったらいいのか?については、こちらのKindle書籍に書いています。読んだ方からは高評価をいただいています!
「セックスレスを一方的に我慢しない 『したがらない夫』との話し合い方」
AさんとBさんとのその後のやりとりも記載しています。
まとめ
セックスレスで、相手からの歩み寄りがもう望めないとなったとき。時間をかけて考えたほうがいいのは、「この先、相手がどうしても変わらないとしたら、『私は』どうしたい?」です。
そして、さらに具体的に考えたほうがいい3つの質問がありました。
「今後の人生で、もうセックスをなしにしてもいいか?」
「セックスレスのままでいる相手と生活を継続するか?」
「セックスレスのままでいる相手への感情をどう着地させるか?」
でしたね。この3つの問いに、あなた自身が出した答えの組み合わせで、今後していくことになる行動がかわってきます。
よく、「レスが解決しないなら、離婚か、婚外か、一生我慢かしかない」のような文言を見かけますが、実際そこには「その結論に至るまでかけた労力と長い時間」があり、人によって葛藤の内容も変わるわけで、単純な三択ではないなといつも思います。
言うなれば、「あっさり離婚か、熟慮の末の離婚か、苦しみ続けた末の離婚か、婚外と我慢を天秤にかけ続けた末の婚外か、我慢しかないか…と思っていた矢先の唐突な婚外か・・・」人によって、体験するものが違います。
そこまでにたくさんの時間を使い、考え、悩み、他の人はどうしてるんだろうと調べ、また考え…としているはずです。その間、日常生活も行いながら。家事も育児も仕事もしながら、です。
3つ目の質問に、「相手への感情をどう着地させるか?」というのがありますが、すぐにスパッと離婚することを選ばない限り、これは時間をかけて何度も何度も考えていくことになる大事なテーマです。
何から気持ちを整理したらいいのかわからない。その時のヒントになれば幸いです。
セックスレスのことについては、こちらの著書『誰にも言えない夫婦の悩み相談室』でも書いています。
「私の場合はどうしたらいい?」を知りたい方は、個別相談をご利用ください。